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泉美木蘭
2015.9.29 05:04

9条のために死ねるのか?

ネット上でたびたび「憲法9条を世界遺産に!」という運動を見かけるが、
いつも首をかしげてしまう。
9条は、『世界に先駆けた名文であり、未来の神話とも言うべきもの』
というのがその理由なのだそうだ。
『戦争を放棄するというのは人類共通の理想であり、必要な未来だと
誰もがわかりきっていること。
それを宣言した憲法9条は、未来の理想を唱えた素晴らしい条文』

『9条は、日本に残された夢であり理想であり、拠り所である。
二度と戦争を起こさないという姿勢を貫き通してきたことに、日本人の
誇りがある』

『こんなに素晴らしい憲法を、日本人はもっと誇りに思うべき。
胸を張って世界に広めましょう!』

じゃあ、こういった主張の通り、実際に9条を世界遺産にするのなら、
まず日本は9条に書いてある通りに、完全なる武装解除を行わなければならない。
自衛隊は解散して、武器を捨て、消防よりも専門的な知識と装備を持つ
災害救助隊として組織変更。
それから、なにより、米軍に出て行ってもらう必要がある。

「私たちは世界に先駆け、完全武装解除して、戦争を放棄しました!
ただし、米軍の武力に守られているという前提で

なんてことをドヤ顔で言ってるという実態が『世界遺産』として地球上に
広まるなんて、あまりに恥ずかしすぎるから。
こうして、すべての武装を解除して、完全なる丸腰になってから、
さらに、こう言い切る必要がある。

「さあ、これが日本だ!
我々は憲法9条を誇りとして高らかに掲げる、地球上で唯一の、
超理想国家です。
武力でなんとかしようとする国? ダサいですね。
おっ、ミサイルが飛んできましたね。大勢が死にましたが、日本は
絶対に抵抗しません。

絶対に抵抗しません。
しかし、服従もしません。
憲法9条のために、我々は死ぬことができます。
我々は、いのちよりも、憲法9条が大切です。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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